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【橿原市・今井町古民家プロジェクト】建具職人・外壁塗装のプロにこだわりを聞いてみた

橿原市今井町 古民家 塗装職人 建具
ライター中川
ライター中川
こんにちは、ライターの中川です。

昨年(2018年)から進められていた橿原市今井町の古民家プロジェクト

3月の竣工をめざし、急ピッチで作業が進められていましたが、無事に改装工事を終えることができました。

ちなみに、最初に今井町の現場を訪問させていただいたときの様子は以下にまとめています。

「あさが来た」のロケ地、奈良県橿原市今井町の古民家プロジェクト! 今日は日生ハウジングさんのご依頼を受け、国の「重要伝統的建造物群保存地区」にも指定されている橿原市今井町にやってきました...

今回の記事では、改修工事の最終盤の作業を請け負ってくださった塗装と建具、

それぞれの職人さんのインタビューをお届けします!

建具職人さんインタビュー

和室の引き戸は三つ組手の文様

橿原市今井町 古民家 建具職人
ライター中川
ライター中川
まずお話をお伺いしたのが、建具職人として30年以上のキャリアを誇る福西さんです。よろしくお願いします。
福西さん
福西さん
お願いします。

建具とは、戸や扉、窓、襖、障子など、開閉機能をもった仕切りのことで、その製作・取付を行うのが建具職人さんの仕事です。

今回のプロジェクトは、和室の引き戸がもっともこだわったポイントだといいます。

橿原市今井町 古民家 建具職人
ライター中川
ライター中川
文様のデザインがとてもきれいですけど、これは名称とかあるんですか?
福西さん
福西さん
三つ組手といって、水平の線に斜め菱を組み合わせた文様です。

その三つ組手に桜と麻の葉のデザインをあしらっています。

橿原市今井町 古民家 建具職人
▲桜の文様

橿原市今井町 古民家 建具職人
▲麻の文様

福西さん
福西さん
まずは必要なパーツを作って、それを嵌め込んでいきます。
ライター中川
ライター中川
パッと見た感じでも、すごく手間暇がかかりそうな気がします…。
福西さん
福西さん
そうですね。パーツづくりの作業に取りかかっているときは、昼の仕事を終えた後、毎日20時から24時くらいまで製作に当たっていました。
ライター中川
ライター中川
よく見ると色が変わっているパーツもあるんですね。
福西さん
福西さん
はい。桜と麻の文様のつなぎ目が緑色になっていて、4枚の戸を閉めると中央に菱形が浮かび上がってくるようになっています。

また、光の陰影がつくと、外側から見たときに文様が浮かび上がってきれいなんですよ。

橿原市今井町 古民家 建具職人
ライター中川
ライター中川
ほんとですね!
福西さん
福西さん
夜になって、ライトで濃淡が出ると、よりはっきりと浮かび上がってくると思います。

腰板には屋久杉を使用

橿原市今井町 古民家 建具職人

壁や障子などの下部に張った板のことを腰板といいます。

この腰板には屋久杉が使用されています。

(建具の他の部分は吉野檜、吉野杉を使用)

橿原市今井町 古民家 建具職人
福西さん
福西さん
見ていただいたらわかるように、色にムラがありますよね。黒、黄色、赤っぽいところと…。
ライター中川
ライター中川
その独特の文様が味わいになる感じですかね。
福西さん
福西さん
そうですね。まあ、好みの部分もあって、文様のないフラットなものがいいといわれることもありますが。

今回の物件は、内装の意匠に関しては一任いただいたので、「少しでもいい素材を」ということでこちらの屋久杉を採用させていただきました。

古民家ならではの微妙なズレをミリ単位で調整していく

橿原市今井町 古民家 建具職人

今井町の古民家はっきりと100年以上前に建てられており、伝統的建造物保存の観点から、「使える建材は活かす」方針が取られています。

ただ、古い木材はゆがみたわみなどが出てきていることが多く、そこに新しい建具を合わせるのが難しいといいます。

ライター中川
ライター中川
寸法とかが正確じゃないので、新築物件と違って苦労することが多いわけですね。
福西さん
福西さん
はい。例えば、鴨居の溝の場合、10mmくらい左右で高さがズレていました。
ライター中川
ライター中川
そういった場合、どのようにして調整されるんですか?
福西さん
福西さん
新しい建具をカンナで削って、数ミリずつ調整していきます。
橿原市今井町 古民家 建具職人

引き戸なので、当然無理なく開け閉めができるように調整するわけですが、戸が重すぎても、軽すぎてもいけません。

福西さん
福西さん
水分を含むと木は膨張するので、湿気の多い梅雨時と、空気が乾燥している冬場とでは戸を引く重さも変わってきます。
ライター中川
ライター中川
そこまで考えた上で、細かな調整を重ねていくわけですね。
福西さん
福西さん
気密性の高い今の家と違って、古民家は外気の影響を受けやすいんです。それだけに、余計に調整が難しんですよ。

1年くらいは様子を見て、定期的なメンテナンスも必要かと思います。

ライター中川
ライター中川
「木は生き物」というか、なかなか繊細な感じなんですね。
橿原市今井町 古民家 建具職人

ちなみに、こちらの引き戸は「削っては、嵌めて」の作業を約20回行い、微調整を繰り返したそうです。

こうした職人さんの細やかな作業が、古民家の再生を支えているわけですね。

耐力格子に施された遊び心

橿原市今井町 古民家 建具職人

上の写真の左右にある格子状になっているのが、地震などによる水平荷重(横からの力)を軽減するために設けられた耐力格子です。

こちらの耐力格子は、今井景観支援センターが定める基準に基づき、設置が義務づけられています。

福西さん
福西さん
ただ、枠の中の格子にまで細かい規定はなかったので、ちょっと自分なりに工夫はしてみました。
ライター中川
ライター中川
そうなんですね。具体的にどいった工夫をなされたのでしょうか?
橿原市今井町 古民家 建具職人
福西さん
福西さん
店舗利用されると聞いたので、手前の方は小物などを置けるように、大き目の格子で組みました。
ライター中川
ライター中川
なるほど。逆に奥の格子は目が細かいですね。
福西さん
福西さん
はい。奥は厨房になるそうなので、目隠しになるように格子を細かくしました。
ライター中川
ライター中川
そうした配慮の結果、格子の網目が違っているんですね。
橿原市今井町 古民家 建具職人

ちなみに、この耐力格子は奥行きが7.5cmあります。

通常、約3cmまでのものが建具職人の管轄で、それ以上大きいものは大工さんの仕事になるそうです。

福西さん
福西さん
なので、普段はあまりやらない大きさの仕事でしたが、それだけに新鮮で、楽しい側面もありました。

自由度が高い分、持てる技術のすべてをぶつける

橿原市今井町 古民家 建具職人

外の格子を手がけるのも建具職人さんのお仕事。

自由度の高かった家の中に比べ、外観は「景観保護」の観点から今井町の仕様が決められており、図面通りの設計になっているそうです。

 

格子は縦と横の組子が組み合わせって構成されるわけですが、単に縦の組子に穴を空け、横に串刺しするわけではありません。

福西さん
福西さん
横の組子にあらかじめ溝を付け、そこに縦の組子を嵌め込んでいきます。
橿原市今井町 古民家 建具職人

そうすることで格子がしっかりと固定されるわけです。

ライター中川
ライター中川
中と外と、今回手がけられたお仕事についてお伺いしました。全体的な感想としては、今井町の物件はいかがでしたか?
福西さん
福西さん
今回の案件では、中の建具に関してはほぼお任させいただきました。そういった機会は滅多にないので、楽しかったですね。

自由にしていいといわれると、「少しでもいいものを」と職人として力が入りましたし、その意味でもいい仕上がりになったんじゃないかと自負しています。

塗装職人さんインタビュー

新築と古民家の現場での一番の違いは染料!?

橿原市今井町 古民家 塗装職人
ライター中川
ライター中川
続いてご登場いただいたのが、塗装職人の福島さんです。

福島さんも福西さん同様、30年以上のキャリアを誇る職人さんです。

福島さん
福島さん
よろしくお願いします。

塗装職人さんの場合、新築物件では外壁や屋根などの塗装が主な仕事となります。

今井町の古民家の現場では、各柱の塗装を主に担当されました。

ライター中川
ライター中川
やっぱり、新築物件と古民家の現場では、作業時にいろいろな違いがある感じでしょうか?
福島さん
福島さん
そうですね、大きく違うのは塗料ですね。

木の呼吸を止めない自然塗料(柿渋)を使用

橿原市今井町 古民家 塗装職人
福島さん
福島さん
今井町の現場の場合、新築やリフォーム時の住宅の塗り替えで使っている塗料は使えないんです。

古い木材を保存する観点から、化学薬品が入った最近の塗料は使用することができず、自然の染料を使わないといけないそうです。

風雨にさらされる外観の一部には化学薬品が入っている塗料の使用も認められていますが、中は自然素材のもののみと定められています。

今井町の現場で使われている染料は柿渋です。

柿渋(かきしぶ)とは

柿渋とは、まだ青いうちに収穫した渋柿の未熟果を搾汁し発酵熟成させたもの。

日本では古くから、この柿渋を塗料や染料、あるいは万能民間薬として、マルチに活用してきました。

家屋や生活道具、衣料品の耐久性を高め、防水・防虫・防腐・消臭効果を与えるなど、その効能は驚くほど多彩。

近年は柿渋から抽出した「柿タンニン」も、健康・美容素材として注目を集めています。

出典:(株)トミヤマ公式サイト

橿原市今井町 古民家 塗装職人
福島さん
福島さん
これをそのまま塗る場合もありますし、黒くなっている柱に関しては、ここに墨と煤を入れて、色味を調整していきます。

ちなみに、自然素材からできているので飲んでも大丈夫なんですよ。

ライター中川
ライター中川
実際に飲むところを写真に撮れば、おもしろコンテンツとかができそうですね(笑)。やりませんけど。

ちなみに、柿渋には、

  • 防虫
  • 防風
  • 撥水

などの効果があります。

福島さん
福島さん
実際に、虫食いはありますが、シロアリは一切ついていませんでしたからね。
ライター中川
ライター中川
昔の人の知恵が活かされているわけですね~
橿原市今井町 古民家 塗装職人
福島さん
福島さん
ちなみに、上の写真の赤っぽいのが柿渋本来の色です。2、3回塗り重ねて、2週間ほど寝かすと、このような色になります。
ライター中川
ライター中川
塗り重ねる回数をもっと増やすと、濃ゆい色になるんですか?
福島さん
福島さん
あまり変わりませんが、塗り重ねの回数が多いと膜になってしまって、剥がれてしまうリスクが出てくるんですよ。

またヒノキだと油分が多く、木が塗料をあまり吸い込まないので回数が少なめでいいとか、対象となる木材によっても塗る回数が変わってきます。

ライター中川
ライター中川
いろいろと奥が深いですね~。

古い木材の状態を見て、色を決めていく

橿原市今井町 古民家 塗装職人

天井に使われている丸太は、基本的には古い木材で、一部痛みの激しいものが新しい建材に取り換えられました。

新しい丸太が浮かないよう、色を付けていくわけですが、それだけだとコントラストが強くなるので、古い木材の上にも色を塗っていきます。

ライター中川
ライター中川
先ほど、柿渋に墨と煤を混ぜて、色の濃淡を調整していくというお話がありましたが、その色の基準はどうやって決めるんですか?
福島さん
福島さん
こちらで決めるのではなく、元の色を見て、それを基準に色を調合していきます。

新しい木の場合、油分が多く、塗料を弾くので、特に何度も塗り重ねていきます。

ライター中川
ライター中川
新しい木は濃いめに、古い木は状態にあわせて色を塗り重ね、全体的に違和感がないようにバランスを取っていくわけですね。
橿原市今井町 古民家 塗装職人
福島さん
福島さん
はい。上の写真のような接ぎ木がしてあるところも同様で、まず新しい木を何度も塗り重ね、最終的に全体を塗って、色味を調整していきます。

古い建材から、当時の暮らしの一端がうかがい知れる面白さ

橿原市今井町 古民家 塗装職人

上の段落で、黒くなっている古い木の色合いを見て、塗料の濃淡を決めるとご紹介しました。

では、同じ「黒」でもなぜそのような色の濃い、薄いの違いが出てくるのでしょうか?

福島さん
福島さん
昔の家は囲炉裏があって、薪をたいて、その煤で自然に黒くなっていくんです。
ライター中川
ライター中川
100年の木には、そういった生活の蓄積が見えるわけですね。
福島さん
福島さん
はい。例えば、こちらの鴨居の溝を見てください。
橿原市今井町 古民家 塗装職人
福島さん
福島さん
この部分は痛みが激しく、塗料を塗っても弾いて、色がもう入らならいんですよ。たぶん、ここが一番頻繁に戸の開け閉めをしておられたところだと思います。

ライター中川
ライター中川
こうしたところから、この家に住まれていた方の生活の一端を伺い知れるのも、面白いところですね。
橿原市今井町 古民家 塗装職人

ちなみに、上の写真は先ほどの鴨居の続きですが、こちらは色が薄っすらと入っています。

玄関の方から見て右側の戸の開け閉めをよくされていたので、このような違いが出ていると推測されます。

虫食い箇所の塗装など、古民家ならではの難しさも

橿原市今井町 古民家 塗装職人

今回の今井町の物件の場合、すべての柱や建具に色は塗られていません。

例えば、天井の板はすべて新しい材料に改修されましたが、黒く着色はされていないんです。

福島さん
福島さん
お施主さんのご意向で、今回の物件では古い木材と、新しい木材を調和させたデザインにすることに。

それですべての木材に塗装を行っていません。

ライター中川
ライター中川
塗る場所と塗らない場所と、どのように選定されたんですか?
福島さん
福島さん
全体のバランスを見ながら、相談しつつ、塗る/塗らないを決めていきました。

家づくりはもちろん、古民家の改修にもさまざまな専門分野の職人さんが作業に関わるわけですが、建具や塗装の職人さんが現場に入るは一番最後です。

橿原市今井町 古民家 塗装職人
福島さん
福島さん
実際に、引き戸とかすべての要素が揃っていないと、塗るところと塗らないところのイメージがなかなかできないんですよ。
ライター中川
ライター中川
なるほど。ただ、中身が完成してから塗る場合、周囲に色を付けてはいけませんし、けっこう大変じゃないんですか。
福島さん
福島さん
おっしゃるとおりです。
橿原市今井町 古民家 塗装職人
福島さん
福島さん
例えば、この柱と敷居の接合部とかもそうですが、テープとビニールでしっかり養生してから「塗り」に入ります。

当たり前といえば当たり前ですが、しずく一滴でも別のところに付けちゃうとアウトですからね。

ライター中川
ライター中川
今回の現場で、とくに苦労したところはどこでしょうか?
福島さん
福島さん
虫食いの中に色を入れるのが大変でした。

橿原市今井町 古民家 塗装職人
ライター中川
ライター中川
虫食いの小さな穴に色を入れるのが大変だったということでしょうか。
福島さん
福島さん
そうです。刷毛だけでは上手く塗れないところがけっこうたくさんあって…。
ライター中川
ライター中川
その場合、どのように対処されるんですか?
福島さん
福島さん
例えば、爪楊枝を利用したり、いろいろと工夫しながら色を入れていきました。

ちなみに、塗装した木材はすべて3~4回は塗ります。

また、上でご紹介したように、色の濃淡によって塗りの回数を多くする場所もあり、全体の色のバランスがおかしくならないように気を配りながら、作業を進めます。

ライター中川
ライター中川
聞いててすごいなと思ったんですけど、ほんとこだわりだすと切りがなさそうですね。
福島さん
福島さん
そうなんですよ。難しいし、大変ですけど、それが仕事の面白さにもなっています。

まとめ

今回の記事では、今井町の古民家プロジェクトの最後の工程を手がけてくださった建具職人の福西さんと、塗装職人の福島さんのお二人のインタビューをお届しました。

お話を伺ってみると、細かいところにさまざまなこだわりと職人技が活かされていることを知ることができ、興味深かったです。

 

今井町の建物の改修工事は一通り終了し、店舗運用に向け、今後さらに準備が進められていくようです。

楽しみですね!

 

また日生ハウジングでは、新築物件の建設にも、今回ご紹介した職人さんたちに協力をいただき、「よりよい家づくり」を推進しています。

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なかがわ
なかがわ
大阪在住のフリーランスのライターです。広告のコピー書いたり、WEBコンテンツつくったりしています。よろしくお願いします!

「地域に根ざした企業」として、桜井市・橿原市を中心に、これまでに数多くの注文住宅を手がけさせていただいてきました。

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