戸建住宅やマンションの購入には何千万円という大きなお金が必要ですので、多くの人が住宅ローンを利用します。
民間ローンには、
- フラット35
- 銀行ローン
という2種類がありますが、いずれも住宅ローンを組むには審査が必要となり、一定の基準を満たしていないとローンが組めません。
- 住宅ローンの審査の流れ
- 住宅ローンの審査に落ちる具体的な理由
- 住宅ローンの審査に落ちないためにできること
住宅ローンの審査の流れ

審査の基準について知る前に、まずは審査の流れについて見ておきましょう。
住宅ローンの審査には、
- 事前審査
- 本審査
この2つがあります。
物件を購入した後、住宅ローンが借りられなかったという事態になると、ご本人はもちろん、貸し手である金融機関にも大きな痛手となります。
銀行にもよりますが、事前審査は3日~4日ほどで結果が出ます。
事前審査を通過すると本審査に進むわけですが、こちらはより詳細な審査が行われるので、提出書類なども多くなります(審査期間は約1週間)。
事前申し込み
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事前審査(3~4日程度)
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正式申し込み
▼
本審査(1週間程度)
▼
住宅ローン契約
▼ (2週間から1か月程度)
借り入れ(住宅引き渡し時)
金融機関によって多少の違いはありませんが、上記が住宅ローンの審査から借入までの一般的な流れです。
めったにありませんが、事前審査に通っても、本審査で落ちるということもあるので、その点は理解しておきましょう。
住宅ローンに関しては、個人で行うのはもちろん、不動産会社や工務店経由で金融機関に申し込むパターンもあります。
住宅ローンの審査基準と落ちる理由
それでは、住宅ローンの審査に落ちるケースについて見ていきましょう。
ざっくりいうと、
- 個人信用情報に「異動」の文字=ブラックリスト
- カードなどの遅延が多々ある
- 他の借り入れがある
- 返済負担率を超えてしまっている
- 勤続年数が短い&正社員じゃない
- 年収や年齢が金融機関の基準から外れている
- 健康状態が良好でない
- 担保評価
といった理由が考えられます。
一つずつ見ていきましょう。
指定信用情報機関に異動(=ブラックリスト)の文字がある

いわるゆ、クレジットカード払いの遅延履歴などがあり、ブラックリストに載っているケースです。
それって、どこに載るの?って気になる人もいると思いますが、個人信用情報というところに記載されています。
個人信用情報を扱っているのは、
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構
という指定信用情報機関です。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)とは
クレジット会社の共同出資により、昭和59年に設立された、主に割賦販売や消費者ローン等のクレジット事業を営む企業を会員とする信用情報機関です。また、CICは、割賦販売法および貸金業法に基づく指定信用情報機関として指定を受けた唯一の指定信用情報機関です。
※出典 CIC公式サイトより
日本信用情報機構(JICC)とは
クレジットやローンの契約内容、返済状況等の「信用情報」の収集・提供・管理を通じて、消費者の皆さまと会員会社(消費者金融会社、クレジット会社、金融機関等)の『信用』の架け橋となり、健全で豊かな消費者信用市場の発展を担っていくことが使命であると考えています。
※出典 日本信用情報機構公式サイトより
国のお墨付きをもらっている機関で、あらゆる金融機関が過去の履歴を見ることができます。
ここに、「異動」の文字があると、審査はまず通りません。
ちなみに、「異動」というのは聞きなれない言葉かと思いますが、異動=ブラックリストという認識で問題ありません。
なお、ご自身の個人信用情報は、各機関のサイトから調べることが可能です。
過去に消費者金融などに借入があり、返済を遅延させたことがある

過去に消費者金融から借入があったとしても、基本的には住宅ローンの審査にマイナスに働くことはありません(※一部、不可となる金融機関もアリ)。
ただし、返済を遅らせたことがある場合は、その限りではありません。
また現在、消費者金融から借入がある場合、審査が通らないケースもあります。
地方銀行は比較的ゆるやかですが、都市銀行(メガバンク)はその点が厳しく、特にキャッシングの借り入れがある場合は事前審査で落ちることがほとんどです。
また、消費者金融に限らず、
- 携帯電話の月額料金
- 自動車ローン
などで何度も返済が遅れたことがある人は審査に落ちてしまう可能性があるでしょう。
他の借り入れ(ローン)がある

消費者金融の借り入れがなくても、他のローンがある場合は注意が必要です。
具体的には、
- 自動車のローン
- リボ払い
などのケースが考えられます。
車のローンが代表的ですが、他のローンを組んでいる方は、借入額の枠をすでに使っていることになるので、他にローンを組んでいない人よりも審査が厳しくなります。
月額の返済額が1万円と2万円の人とでは、住宅ローンの借入額が変わってくるので、その点は注意が必要です。
ちなみに、クレジットカードのショッピング1回払いは「ローン」と見なされないので大丈夫ですが、リボ払いをやっている人はこちらも月々の返済額がチェックされます。
また、上でも書きましたが、どういった類のローンでも遅延があった場合はマイナスになるので、審査に落ちる可能性が高くなってしまいます。
借り入れ希望額(返済負担率)の上限を超えてしまっている

返済率という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これは年収に対して、ローンの返済額が年間どれだけあるかを示す数字です。
例えば、
年収400万円の人が月10万円(年間120万円)を返済していたとすると、
120÷400=0.3で、返済負担率は30%ということになります。

この返済負担率は、金融機関によって上限が決められており、おおむね30~35%が返済負担率の上限となっています。
また、上限内であっても雇用形態が非正規だったり、他のローンを組んでいたりする場合は、審査は通らない可能性があります。
借り入れ希望額に届かない場合は、ご夫婦の収入を合わせて(=収入合算)ローンを組むぺアローンや連帯債務、連帯保証などの方法もあるので、ご検討ください。

勤続年数が短い、正規雇用ではない

各金融機関の住宅ローン申し込み条件を見ていると、勤続3年以上としているところが大半です。
ただ、他の条件などを見て問題なければ、勤続1年以上からでも審査は可能なようですが、やはり勤続1年以下の場合は厳しくなります。
また、雇用形態が正社員じゃない場合も厳しいでしょう。
- 契約社員
- 派遣社員
- アルバイト・パート
条件的には上記でも融資可能となっていますが、実際は審査に通るのは難しいのが現実です。
ちなみに、近年では自営業のほかフリーランスで働かれている人も少なくありませんが、「住宅ローンの審査」という観点からは正社員の方が圧倒的に有利です。
そうした観点からも、やはり正社員の方が有利といえるでしょう。
銀行としては何よりリスクを嫌うわけですが、
雇用が不安定 → 収入が不安定 → 返済が滞る可能性が出てくる
と考えます。
なので、派遣社員やアルバイト、フリーランスの方は審査が通らなかったり、条件が厳しくなったりするわけですね。
正社員の方でも、転職したばかりなど勤続年数が少ない場合は審査は通過しないので、直近でマイホームの購入を考え、住宅ローンを組もうと思っている方は転職を控えた方が無難でしょう。
銀行の定める最低年収に達していない

返済負担率と同様、各金融機関で住宅ローンを融資する条件として、最低年収を設けています。
基準は金融機関によって違いますが、150万円~300万円くらいが一般的で、地方銀行より都市銀行の方が基準が高く(厳しく)設定されています。
例えば、
3カ月前の営業成績が良く、歩合給が20万入っていて、基本給の20万円とあわせて40万円あったとします。
ただ、翌月の歩合給が5万だとすると、月給は25万となります。
このように歩合給の場合、収入に大きな変動があるので、銀行側はリスクと認識し、3年分の年収の平均値を見るわけです。
同様に、株などで収入が上がった場合も一時的なものと見なされます。
なお、最低年収に達していない場合、上でもご紹介したご夫婦で収入合算することで、住宅ローンの審査をパスするケースがあるので、ご参考にしてください。

物件が銀行の融資条件を満たしていない

個人の条件に問題がなくても、物件が住宅ローン融資の条件を満たしていない場合があります。
具体的には、
- 建ぺい率・容積率オーバーしている
- 隣地へ越境している
- 家の前の道路が要件を満たしていない
- 土地が狭い(銀行の融資基準以下)
といった場合などが考えられます。
また、購入物件の担保価値が低い場合も、住宅ローンの審査が通らなかったり、希望額まで届かないことがあります。
住宅ローンは、万が一支払えなくなった場合に自宅を担保にして支払います。
その価値が低いと借りられる額も低くなるということですね。
こちらも新築物件の場合、よほど立地条件が良くなかったりしなければ、ほぼ大丈夫でしょう。
健康状態が良好ではない

住宅ローンは長期間の借入になることがほとんどなので、健康状態のチェックも重要になってきます。
といって、金融機関が個別に健康状態を確認するわけではなく、団体信用生命保険(団信)などの生命保険の加入を義務づけているわけです。
(フラット35など、加入が任意のところもあります)
この団信の審査に引っかかってしまう=健康状態が良好ではないという判断になり、住宅ローンを組むのは厳しくなります。
団体信用生命保険の詳細については、下の記事をご参考にしてください。

また、年齢による条件もあり、以下の項目はチェックしておいてください。
- 完済時の年齢が80歳未満になる
- 若すぎない
住宅ローンは35年で組まれるケースが多いですが、この場合45歳以上の方の場合、審査は通りにくくなります。
金融機関が融資するに際しリスクだと判断されたとき

銀行が住宅ローンを融資するに際してリスクだと考えるのは、以下のようなケースが考えられます。
- 会社員で国民健康保険に加入している
- 勤務先が親の会社
- 税金を払っていない
- 最近離婚して、直後に再婚している
- 独身
①の健康保険は、会社員も個人事業主も関係なく、住宅ローンの事前審査で提出しなければないりません(コピー)。
会社員の方は、社会保険への加入が義務づけられているので、そちらに加入せず国民健康保険で社員を雇っている会社は危険=銀行側からするとリスクがあると考えられます。
②の勤務先が親族の会社の場合、給与設定があってないようなものなので、年収に正当性がないと見なされます。
この場合、個人事業主と同じで収入証明の直近3年分と、会社決算書の直近3期分を提出することになります。
③の税金を払っていないのは当然ダメだとして、④の最近離婚している場合、
離婚で養育費・慰謝料などが発生しているんじゃないか。
▼
それにより、毎月の支払額が多くなり、住宅ローンの返済も厳しくなるのではないか。
という風に見られます。
要は、上でご紹介した返済負担率が規定値よりも高くなるリスクがあるのではないかと考えられるわけです。
⑤の独身の場合、男女に限らず、新築の一戸建てを買おうとする場合、「どうして今買おうとしているのか」が疑問というか謎となり、やはり金融機関からするとリスクとなってしまいます。
住宅ローンの審査に落ちないためのポイント

住宅ローンの審査は、現在のご職業や年収、年齢、ローンの有無、さらには過去の借入状況などがチェックされます。
ほとんどの項目が、審査時に対策を練ろうとしてもどうにもなりませんが、事前にできることもあります。
- 頭金を少しでも多く準備しておく
- 収入合算によるぺアローンや親子ローンを検討する
頭金を多くすれば、当然借入額も少なくなるので、審査は通りやすくなります。
ただ、頭金に関しても急に用意できるわけではありませんので、現実的に一番有効なのはご夫婦でのぺアローンや、親子ローンを検討する方法です。
ぺアローンはご夫婦の収入を合算してローンを組めるので、ご主人お一人のときよりも借入額が多く、審査も通りやすくなります。

まとめ
住宅ローンの申請をして審査に落ちた場合、その理由を教えてもらうことはできません。
なので、「落ちた理由がよくわからない」と感じてしまいがちがですが、住宅ローンの審査に落ちるにはそれなりの理由があります。
その主なポイントが今回取り上げたような項目ですので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
過去のキャッシングの遅延など、ご自身の個人信用情報については、下記のサイトで調べられるので、気になる方はチェックしてみてください。
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