弊社では、これまで注文住宅のプランとして3つの価格帯を設けていました。
それをこのたび見直し、2020年9月1日より、
- Loyal Style(ロイヤルスタイル:建物価格1,580万円~)断熱性能 ZEHの家
- Bloome Style(ブルーミィスタイル:建物価格1,770万円~)断熱性能 HEAT20 G2の家
という2つのプランを新たにご用意。
このBloome Styleにおいて、高性能トリプル樹脂窓(YKK AP「APW 430」)を標準仕様に。
一般的にはオプション扱いになっている高性能な樹脂窓で、奈良県内の工務店・ハウスメーカーで標準採用となるのは初のこととなります。
そこで、この記事では、APW430(高性能トリプルガラス)の魅力について、APW330とAPW430の違いを中心にご紹介します!
また、世界最高レベルといわれる高性能樹脂窓にすると生活がどのように変わるのかについても解説。
詳細につきましては、こちらをチェックしてください!
なお、商品については先日のYKK AP大阪ショールームの記事でもお世話になった亀丸さんが解説してくれます。
目次
奈良県で初!トリプルガラス樹脂窓APW430を標準仕に
画像出典:YKK AP
これまで弊社では、
- LIXIL(リクシル)の樹脂・アルミのハイブリッド窓
- YKK APの樹脂窓=APW330(Low-E複層ガラス)
を各プランで標準仕様としていました。
そして、今回のプラン改訂により、オール樹脂窓の標準仕様を「APW330」→「APW430」に変更。
ということで、まずはAPW330とAPW430の違いについて解説します。
と、本題に行く前に、基礎の基礎として樹脂窓とは?どういったものなのか、おさらいしておきます。

樹脂窓のメリット・デメリットについては、こちらの記事を参考にしてください。

YKKAP「APW330」と「APW430」の違い
画像出典:YKK AP
まず一番の違いが、使われているガラスか2枚か3枚かというポイントです。
- APW330=Low-E複層(ダブル)ガラス
- APW430=ダブルLow-Eトリプルガラス
単純に、2枚より3枚の方が分厚いので、気密性や断熱性能が高まります。
複層ガラスとは?
画像出典:YKK AP
- APW330は複層(ダブル)ガラス
- APW430はトリプルガラス
とご紹介しましたが、単板(1枚)ガラスと何が違うのでしょうか?
複層ガラスはガラスとガラスの間に空気層(乾燥空気、またはアルゴンガス)が入っていて、屋外の熱がダイレクトに住宅の中に影響しない作りになっています。
この空気層のことを中空層といいます。
- 複層ガラスの中にある中空層は、6mm、12mm、16mm、19mmなどがある
- 12mm以上の厚みがあっても12mmと断熱効果はほぼ変わらない(一部16mmが最大値を発揮する)
この中空層の厚みが、断熱性や気密性に大きく影響し、
※中空層は16ミリにならない場合があります。
画像出典:YKK AP
上の図にあるように、APWシリーズで採用しているLow-Eガラスには、ガラスの間に、アルゴンガスを封入し、断熱性能を高めています。
アルゴンガス入り複層ガラスの性能
アルゴンガスは空気よりも断熱性能に優れ、ガラス自体に厚みが無くてもしっかり冷気を防いでくれます。
一般的な複層ガラスの中空層には乾燥空気が入っており、その比較としてアルゴン入りのAPW430を「高性能トリプル樹脂窓」と謳っています。
壁にもっとも近い窓=APW430

窓は住居には欠かせませんが、見方を変えると「窓は住宅に開いた穴」です。
つまり、気密性や断熱性を考える場合、窓はない方が性能が高くなるわけですが、実際には窓のない家は考えられません。

上の図は、断熱材(硬質ウレタンフォーム100mm)を吹きつけた壁を100とした場合の比較値です。
- 壁 100mm
- アルミサッシ+複層ガラス 1mm
- アルミ樹脂複合+Low-E複層ガラス 5mm
- APW330 23mm
- APW430 42mm
この比較を見ると、APW330もアルミ樹脂複合窓に比べて圧倒的な断熱性能を誇るのがわかります。
そして、APW430はそのAPW330の約2倍の性能。
樹脂スペーサーが標準となるAPW430
APW330断面図
「スペーサー」というのは聞きなれない名前だと思いますが、複層ガラスには欠かせない部材です(上の画像参照)。
1つ上の「複層ガラスとは?」の段落で、ガラスとガラスの間に空気層があるということを解説しましたが、その空気層の厚みを決めるのがスペーサーの幅になります。
複層ガラスは、断熱・遮熱や防音効果に優れており、その効果はガラスとガラスの間の中空層によって生み出される。
その中空層の厚みを決めるのがスペーサーなので、重要なパーツということになる。
通常スペーサーはアルミで作られています。
ただ、アルミは熱電伝導率が高い材質です。
せっかく気密性・断熱性が高い樹脂窓を採用しているのに、スペーサーがアルミ製であるために、性能値が多少マイナスの影響を受けることになります。
※APW330はアルミスペーサーと樹脂スペーサーの両方が用意され、樹脂スペーサーはオプションとなり費用がプラス6~7万円かかります。
樹脂フレームはマルチチャンバー構造を採用

従来の樹脂窓に比べ、フレームの中空層が多いマルチチャンバー構造を採用するAPWシリーズ。
チャンバーとは、伝熱方向に並ぶ中空層の数
※上図はたてすべり出し窓の場合
以下、APW330とAPW430の比較です。
APW330 | APW440 | |
障子フレーム | 2チャンバー | 3チャンバー |
枠フレーム | 3チャンバー | 4チャンバー |
障子フレームや枠フレームの部屋数を多くすることで、熱を伝えにくくしています。
ただ、フレームの部屋数を増やし、幅を広くすると窓自体がかなり重くなり、耐久性などを考えた時にマイナスになるのでは…という不案もあるでしょう。
でも、ご安心ください。
画像出典:YKK AP
APW430では、下枠かかり代を50mm取り、躯体でしっかりと支える構造になっています。
下枠の躯体かかり代を大きくすることで、
- 枠の表面温度を高める → 断熱性能の向上
- 躯体でしっかりと支える → 下枠にかかる力を軽減し、枠のたわみを防ぐ
という効果が期待でき、結果として断熱性はもとより、耐久性に優れた構造を実現しています。
APW330とAPW430の値段の違いについて

これまで見てきたように、性能を比較した場合、上位モデルのAPW430の方が高性能といえます。
では、実際に新築の注文住宅を建てた場合、どれくらいの価格差が生まれるのでしょうか?
なかなか大きい価格差ですよね。
また、断熱性についてはAPW330も「省エネ建材等級」は最高等級で、高い性能を誇っています。
これらのことから、「APW330も十分高性能だし、大きな価格差があるし、APW430にまでしなくていいか」という方が少なからずおられた、というのがこれまでの傾向でした。
ただ価格の問題を考えずに、どちらがいいかと聞かれると、より性能が高いAPW430をみなさん選ばれるでしょう。
施主様にとっても大きなメリットになると考えています。
高性能トリプルガラス樹脂窓APW430だと生活がこう変わる!
画像出典:YKK AP
APW330との比較を軸に、これまでAPW430の性能について見てきました。
ここからは、高性能トリプルガラス樹脂窓のAPW430を導入したお家にすると、どのような暮らしができるのかについてご紹介していきます。
冬の寒さも安心!セーター2枚分温かい部屋
画像出典:YKK AP
樹脂窓はドイツをはじめ、もともと寒冷地で発展してきた建材で、冬に高い効果を発揮することで知られています。
実際、室内の熱の出入りがもっとも激しいのが窓で、冬場の住宅においては、実に全体の熱流出の52%が窓からという結果になっています(上図参照)。
では、樹脂窓を導入したとして、冬場の部屋での体感温度はどれくらい変わるのでしょうか?
下の図をご覧ください。

【算出条件】「平成25年省エネルギー基準に準拠した算定・判断の方法及び解説Ⅱ 住宅」 標準住戸のプランにおける例で、AE-Sim/Heatによる当社の計算結果より。●外気温:0℃
冬に外気温が0℃で室温が20℃のとき、室内の体感温度は、
- アルミ単板ガラス 15℃
- 樹脂窓 19℃
で、窓が違うだけで、約4℃もの体感温度差が生じます。
ですので、セーター2枚を着込むくらい、体感的に暖かさが違うということですね。
普段セーターを2枚着込むことはないと思いますが、実際にやったとしたら体感温度はかなり上がると思います。
なお、上の実証データはAPW330のもので、その上位モデルのAPW430は同等か、それ以上の機能性を期待できると考えていただいて問題ありません。
夏涼しくて、冬暖かい快適な生活空間を実現

冬の室内が暖かいということは、夏は暑いんじゃないの?と思った方もいらっしゃるかもしれません。
でも、ご安心ください。夏場も暑さをやわらげ、快適な空間を実現してくれます。
樹脂窓は、室温を上げる日射熱をブロックします。
上図のように、アルミ(複層ガラス)と比べた場合、
- ガラス中央部の表面温度差 6℃
- 下框の表面温度 15℃
という大きな差があり、APW430がアルミ窓に比べて圧倒的に遮熱性が高いのがわかると思います。
ちなみに、夏の住まいから出る熱の70%近くは窓や玄関などの開口部から。
だからこそ、窓の遮熱性・断熱性を高めることが大切になります。
また、Low-Eペアガラスが、
- 太陽の日射熱
- 紫外線
を大幅にカット。夏涼しい家に寄与してくれます。
画像出典:YKK AP
樹脂窓は結露が生じにくい

結露は、窓辺と室内の温度差により生じます。
APW430は、暖かな空気と窓の表面温度の差を小さくし、結露を防ぎます。
画像出典:YKK AP
上の図はアルミ(複層ガラス)とAPW430を比較したものです。
アルミがガラス中央部の表面度と下框の方面温度の差が7℃あるのに対し、APW430はわずか2℃しか差がありません。
このガラス面と窓枠の温度差の少なさが、結露を生みにくくしているわけです。
また、下の画像は同一条件下における「アルミ樹脂複層窓」と「APW430」の結露の付き具合を比較したものです。

比較した条件は以下の通り。
- 室外の温度 1.6℃
- 室内の温度 24.3℃
- 室内の湿度 54.6%
アルミ窓よりも性能のいい「アルミ+樹脂」の複合窓と比べても、写真左のアルミ樹脂複合窓は目に見えて結露が出ているのに対し、APW430はほとんど変化がありません。
YKK APのショールームでは、この樹脂窓の断熱性能や結露の付きにくさといった「実際の感じ」を体感することができます。
YKK APショールーム大阪に伺った体験記事を以下にアップしていますので、よろしければご参照ください。

HEAT20 G2レベルの快適な生活空間を実現

HEAT20とは
深刻化の一途を辿る地球温暖化とエネルギー問題 。その対策のために「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」が2009年に発足しました。HEAT20はその略称であり、呼称です。
※英語表記 「Investigation committee of Hyper Enhanced insulation and Advanced Technique for 2020 houses」
HEAT20は長期的視点に立ち、住宅における更なる省エネルギー化をはかるため、断熱などの建築的対応技術に着目。
住宅の熱的シェルターの高性能化と居住者の健康維持と快適性向上のための先進的技術開発、評価手法、そして断熱化された住宅の普及啓蒙を目的とした団体です。
※HEAT20の詳細はコチラ>>HEAT20公式サイトへ
HEAT20による高断熱の家の評価はG1、G2とグレードで表され、数字が上がるほど高性能ということになります。
各グレードによって得られる効果については、下の図を参照ください。


パッと見よくわからないと感じるかもしれませんが、簡単にまとめると、地域ごとにエアコンをつける時間を定め、
- 住宅内の体感温度が15℃未満になる割合
- 冬期間の最低体感温度
といったチェック項目により、グレードを決めていきます。
例えば、奈良県は断熱地域区分で4、5となり、
- 冬の最低体感温度が概ね10℃を下回らなければHEAT20 G1
- 冬の最低体感温度が概ね13℃を下回らなければHEAT20 G2
という評価になります。
樹脂窓としての高い性能を客観的にも認められています。
ヒートショックや熱中症対策にも

近年、ヒートショックや熱中症など、自宅での事故が増加傾向にあります。
ヒートショックとは、家の中の急激な温度差により血圧が大きく変動することで失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こし、身体へ悪影響を及ぼすことです。
熱中症とは、体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気のこと。
家の中での急激な温度差が原因で起こるヒートショックはもとより、室内の温度上昇による夏場の熱中症も、人間にとって「快適ではない室内温度」が原因となっています。
また冬の室内において、快適ではない温度=寒い部屋は、健康リスクを高めるという研究結果もイギリス保険省が出しています。
※下図参照

18℃未満になると、各種疾患のリスクが出てくると報告されています。
実際にHEAT20 G2の基準をクリアしているように一定の室内温度をキープしますので、急激な温度変化がない点も安心です。
快適なのはもちろん、高気密・高断熱の樹脂窓は、健康面の安心・安全にもつながるというわけですね。
エネルギーの削減で電気代の節約にも
画像出典:YKK AP
窓の断熱性能を高めるだけでも冷暖房費の節約になります。
上の図は、「アルミ」「アルミ+樹脂複合」「APW430」の同一条件内での地域による年間電気代を比較したものです。
上記設定で、大阪の場合、
- アルミ 71,716円
- アルミ+樹脂複合 65,513円
- APW430 52,998円
という結果になり、APW430はアルミ窓に比べ年間で約2万円、アルミ+樹脂の複合窓に比べ約13,000円電気代が安くなります。
樹脂窓のデメリットは?

ここまで高性能トリプルガラス樹脂窓APW430のメリットについて紹介してきましたが、デメリットはないのでしょうか?
もちろんゼロではなくて、それはアルミ窓に比べて樹脂窓は重いということ。
トリプルガラスになっていることや、それを支える構造が頑丈に作られていますので、アルミと比較するとどうしても重量は増えてしまいます。
また、開閉をサポートする機能もあり、例えば掃き出し窓に用いられる「大開口スライディング」には以下のようなハンドルを備えています。
画像出典:YKK AP
上の画像のように、ハンドルを横に倒すと、蹴り出し部分が枠を押し、開ける際に力をアシストするので、軽い力で開けることが可能です。
上記以外では、やはり「価格が高い」というのが樹脂窓の一番のデメリットですが、日生ハウジングではAPW430を標準採用にするのことで、そのマイナス面を解消。
上記以外の樹脂窓のデメリットにつきましては、下の記事をご参考にしてください。

奈良県の住宅にハイスペックなAPW430は必要なのか?

盆地である奈良は夏熱く、冬寒い気候ですが、極寒地であるわけではありません。
そこで、
世界トップクラスの樹脂窓であるAPW430は本当に必要なのか?
過剰な機能性ではないのか?
と疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
結論からいいますと、APW330やアルミ+樹脂の複合窓でも、生活の快適性が著しく損なわれることはないでしょう。
ただ、近年一般的にも高気密・高断熱の家の需要が高まっているほか、HEAT20などの団体が推奨しているように、健康維持や快適な生活を送るためには高性能の住宅が欠かせません。
この傾向は今後高まることはあっても、低くなることはないでしょう。
高性能なのは魅力だけど、その分金額が大きく上がるからオプションを付けてまで導入はできないという方も、標準採用になったことで金額面の問題も緩和されます。
というわけで、見出しの「奈良県にAPW430は必要なのか?」という疑問に対する答えは、
- ハイスペックすぎる側面はあるけど、性能が高くてマイナスなことはない
- HEAT20に見られるように、高気密・高断熱の基準や需要は年々高まり、将来を見据えると決してやり過ぎとはいえない
- 快適性、健康の維持、経済性という観点からもオススメ
といったことから、可能であれば導入するに越したことはないでしょう。
もちろん、予算との兼ね合いもありますので、無理をしてまで最高クラスの樹脂窓を取り入れる必要はありません。
さいごに
- 日生ハウジングは、奈良県で初めてAPW430を標準仕様に
- APW430は世界最高クラスの樹脂窓
- オプション料金なしでAPW430を導入できるのは大きなメリット
2020年9月より、弊社で高性能トリプルガラス樹脂窓のYKK AP「APW430」が標準採用となり、
それにともない、この記事ではAPW430の魅力についてご紹介しました。
- フリーダイヤル 0120-46-3362
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