住宅設備機器の総合メーカーであるLIXIL(リクシル)。
その商品は日本各地にあるショールームにて実際に触れることができますが、リクシルが提案する❝快適な暮らし❞を体感できる「住まいスタジオ」という施設も開設されています。
住まいスタジオがあるのは、
- 東京(新宿)
- 大阪(南港)
上記2か所です。
今回の取材では、そのリクシルショールーム南港にある「住まいスタジオ」にお邪魔することに。
レポートはモデルのななせさんにお願いしました。
よろしくお願いします!
ご案内いただくのは、「リクシルZEH推進営業部 関西ZEH営業部 住まいStudio大阪」の伊藤さんです。
住まいstudio大阪のディレクターを務めている伊藤です。
よろしくお願いいたします。
目次
LIXILショールーム南港「住まいスタジオ」アクセス

LIXIL(リクシル)ショールーム南港は、
- 1階 ショールーム・レストラン
- 2階 ショールーム
- 3階 住まいスタジオ
という構成になっています。
アクセスや営業時間などの詳細はこちら。
LIXIL(リクシル)ショールーム南港
- 住所 大阪府大阪市住之江区南港北1-7-62
- 電話番号 0570-783-195(ナビダイヤル)
- 営業時間 10:00~17:00
- 休館日 毎週水曜日(祝日の場合は営業)・夏期・年末年始
最寄り駅は地下鉄中央線、ニュートラム線「コスモスクエア」駅になります。
アクセスの詳細はこちら。
電車・バスでのご来館
地下鉄中央線、ニュートラム線「コスモスクエア」駅3番出口より、サークルバス1系統(3番のりば)で約7分、
「LIXIL前」下車 またはニュートラム線「中ふ頭駅」2番出口より徒歩15分
お車でのご来館
阪神高速湾岸線 南港北出口または南港南出口より、車で約7分
※駐車場150台完備(無料)
なお、2020年10月現在、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、完全予約制での営業となっています。
「住まいスタジオ」の予約枠は以下の通り。
平日 | 土日祝 |
---|---|
10:00~11:00 | 10:00~11:20 |
11:30~12:30 | 11:30~12:50 |
13:00~14:00 | 13:00~14:20 |
14:30~15:30 | 14:30~15:50 |
16:00~17:00 | 16:00~17:20 |
土日祝はお施主様の見学のみとなりますので、ご注意ください。
リクシルショールームのご予約
リクシルショールーム南港「住まいスタジオ」

それでは、さっそくリクシルショールーム南港3Fにある「住まいスタジオ」をご紹介します。
住まいstudioは、「健康で快適な暮らしをするために必要な室内温度を体験していただく施設」になります。
具体的には、「冬体感」として、
- 昔の家
- 今の家
- これからの家
- 断熱改修したリフォームの家
という4つの部屋が用意され、室内温度の違いを体感できます。
真夏の部屋を再現した「夏体感」では、
- 南からの強い日差し
- 部屋の奥まで差し込んでくる西日
が再現され、これらに対応する商品の紹介とあわせて、部屋の温度比較を体感いただけます。
上記の施設を順番にご案内させていただきます。
よろしくお願いします!
※時間の関係上、今回の取材では「リフォームの家」の体験紹介は割愛させていただきます。
住まいスタジオ イントロダクション

まず案内されるのが、「イントロダクション」の部屋です。
ここでは、画面に映し出されるスライドを観ながら、
- 住まいスタジオの概要
- 室内・室間の温度差で起こるヒートショックの危険性
- 関西地方の最高気温/最低気温(意外と暑くて、寒い)
- 冬の健康的な室温=21℃(18℃までが許容範囲で、16℃以下は健康リスクがある)
といったことが主に紹介されます。
健康的な室温の指針はイギリスの保健省が出したもので、18℃以上であれば健康に影響を与えないといわれています。
急激な温度変化や16℃以下の室内は、健康リスクがあるんですね。
そうなんです。この健康的とされる「18℃」という数字を念頭に、ご案内する各部屋を回っていただければと思います。
わかりました!
住まいスタジオ「冬体感」の設定温度

「冬体感」ができる各部屋を訪問する前に、設定温度などの各条件を確認しておきましょう。
上の写真は各部屋の外側、つまり室外を再現した通路で、温度は0℃に設定されています。
- 室外温度 0℃
- 室内温度 20℃
この同一条件のもと、窓や断熱材が変わることで、どれだけ室内温度に差が出るのかを体感します。
(間取りもすべて同じに揃えられています)
また、各部屋には体感温度を計測するため、グローブ温度計を設置。


グローブ温度計を各部屋に数台設置することで、より正確な体感温度を計測します。
このほか、赤外線サーモグラフィカメラも各部屋に完備され、画面を通して温度分布を視覚的にも確認できるようになっています。

上の画像の右側あるのがサーモグラフィカメラです。
自身の体感はもちろん、機器を通して客観的にも各部屋の温度差を確認できるというわけですね。
住まいスタジオ「冬体感 昔の家」

それでは、さっそく「昔の家」から見ていきましょう。
こちらの部屋は、日本で初めて断熱基準が設けられた1980年(昭和55年)の基準となっています。
家の断熱を考える上で重要になってくる窓は、
- アルミ窓
- 1枚ガラス
という構成になっています。
では、実際に窓のガラスや枠を触ってみてください。
はーい!
部屋の窓や床、壁などの温度をチェック


冷たいですね。
ガラスもだけど、下の枠のところはもっと冷たいです。
実際にどれくらいの温度なのか、表面温度計をお渡ししますので計っていただけますでしょうか。
やってみます!


伊藤さんの指示のもと各所を計測した結果、以下のような数字となりました。
ガラス | 8.4℃ |
窓下枠 | 3.0℃ |
壁 | 17.2℃ |
床中央 | 14.4℃ |
床端 | 2.9℃ |
同じ床でも場所によって11℃以上差があるなど、温度にムラがあるのがよくわかると思います。
足元が冷たかったですが、計ってみるとやっぱり床の温度も低かったですね。
エアコンは20℃設定ですが、部屋全体を見ると、大きく温度が下回っている箇所が複数あるのがわかります。
これをサーモグラフィで見ると・・・。

サーモグラフィの画面は青が濃いほど温度が低いことを示しますが、部屋全体に青系統の色が広がっています。
また、断熱が不十分な家は室内の上下温度差が大きくなるのも特徴です(暖かい空気は上に行き、足元は寒くなる)。
「上下の温度差」が4℃を超えると、不快に感じる人の割合が急増し、6℃差では40%以上の人が不快と回答しています。
※出典 ISO7730
そういった観点からも室内の温度差は大切ということですね。
部屋間の温度差がヒートショックの原因に!?

リビング・ダイニングを模した部屋の隣には、廊下とトイレが設けられています。
伊藤さんの誘導のもと、そちらの空間に移動してみました。
先ほどと同じように、窓周辺はもとより、空間自体の温度差を体感してみてください。


隣の部屋よりも全体的にかなり寒いです…。
計ってみると、隣の部屋と約9℃温度差がありました。
実際、築年数が古い一昔前の家では、窓周辺が寒いのをはじめ、暖房の効かせた部屋から廊下やトイレに移動した際に大きな温度差を感じると思います。
これは「寒くて快適性が損なわれる」ということはもちろん、ヒートショックの要因にもなるので注意が必要です。

こちらのパネルにも書いていますが、部屋間の温度差が5℃以上あるとヒートショックのリスクが高まると言われています。
例えば冬場の場合、「古い家」では、
- 寝具内 28~33℃
- 寝室 10℃
- 廊下 8℃
- トイレ 8℃
というのが一般的な温度になります。
布団から出た時点で5℃以上の温度差になりますね!?
そうなんです。実際、ヒートショックは風呂場で起こるイメージがありますが、トイレでの発生件数も少なくないんですよ。
住まいスタジオ「冬体感 今の家」

それでは次に、「今の家」に行っていましょう。
入ってみた感想はいかがでしょうか?
さっきの「昔の家」より暖かいです。
こちらの部屋の窓は、
- アルミ・樹脂のハイブリッド窓(サーモスL)
- Low-Eペアガラス
という設備になります。
先ほどと同様、ななせさんに窓などの各ポイントを触って「暖かさ/冷たさ」を確認してもらったあと、表面温度計で計測してみました。

その結果が以下になります。
ガラス | 16.9℃ |
窓下枠 | 5.7℃ |
壁 | 17.6℃ |
床中央 | 17.0℃ |
床端 | 6.6℃ |
参考までに、先ほどの「昔の家」の数値も貼っておきます。
ガラス | 8.4℃ |
窓下枠 | 3.0℃ |
壁 | 17.2℃ |
床中央 | 14.4℃ |
床端 | 2.9℃ |
「昔の家」に比べると全体的に温度が上がり、快適性は向上していますが、一方で窓の下、床の端の方は10℃を下回っています。
確かに、窓の下の方は触ったときも冷たかったです。
断熱性能は優れているが、一部冷たい箇所も

続いて、サーモグラフィを確認してみましょう。
「昔の家」では全面的にブルーでしたが、部屋全体は黄緑色に。
一方で、先ほど計測したように、窓辺や床下の端などは青くなっています。
全体的に温度は上がっていますが、一部、右上の壁の辺りで青が濃くなっている箇所がありますね。
いいところに気がつかれましたね。
その温度が低くなっているところがこちらです。

こちらは、24時間換気システムの換気口です。
2003年7月に改正建築基準法で、24時間換気システムを設置が義務付けられ、今の住宅には必ずこの換気システムが設置されています。
ここから冷たい空気が出ているわけです。
いま計ってみると、7.5℃でした。
24時間換気は不可欠なものですが、断熱という観点からはマイナスなところもあるということですね。
「今の家」でも室間の温度差は大きい?

「昔の家」のときと同様、隣の廊下とトイレにも行ってみましょう。
「昔の家」のときよりかはマシですが、やっぱり隣の部屋に比べるとちょっと寒いですね。
実測値で比較してみると、隣の部屋との温度差は7.8℃ありました。
昔の家では部屋間の温度差は9℃だったので、1.2℃上がっています。
ただ、先ほど見たように部屋間の温度差が5℃以上あるとヒートショックのリスクが高まるので、健康面から考えると十全ではないといえるでしょう。

「今の家」の断熱性能は向上していますが、それでも暖房室と非暖房室の温度差は大きいと言えます。
なるほど。快適性は上がっているけど、部屋間や足元など、一部改善の余地はあるという感じですね。
住まいスタジオ「冬体感 これからの家」

3つ目の「これからの家」は、HEAT20のG2レベルの断熱性・快適性を備えた家となっています。
まず、部屋に入った感想はいかがですか?
暖かいです。特に足元はスリッパを脱いでも冷たくありません!
こちらの部屋の窓は、
- アルミ・樹脂のハイブリッド窓(サーモスX)
- アルゴンガス入りペアガラス
という設備になります。
こちらで採用している「サーモスX」は弊社のアルミ・樹脂ハイブリッド窓では最高級のモデルとなります。
これまでと同様、実際に窓を触ったり、温度を計ったりしてみます。


表面温度計の計測結果は以下の通りです。
ガラス | 18.8℃ |
窓下枠 | 14.3℃ |
壁 | 20.8℃ |
床中央 | 19.9℃ |
床端 | 15.0℃ |
一番低い箇所でも14℃以上と、部屋全体が温かいですね!
温度差もほとんどなく、快適で健康にも優しい環境と言えるでしょう。
熱交換型換気システムで温度差をなくす!

サーモグラフィは全体的に黄色で、「今の家」では青くなっていた窓の枠や床下も急激な温度低下がないことがわかります。
その要因は、最高クラスの樹脂・アルミのハイブリッド窓、断熱材が完備されているほか、換気口にもあります。
こちらをご覧ください。

「今の家」のところで、24時間換気システムの換気口から冷たい空気が出ており、周辺温度が下がる原因になっているとご紹介しました。
HEAT20 G2基準の「これからの家」では、熱交換型換気システムを導入し、そのデメリットを解消しています。
換気口の温度を計ってみると、20.1℃でした。
冷たくなっていないのはもちろん、壁(20.8℃)とほぼ同じ温度ですね。
リクシルでは、フルダクト式の全熱交換型換気システム「エコエア90」という商品を展開しています。
商品の特長をはじめ、詳細については下記を参照してください。
廊下やトイレも寒くない快適な家

恒例の隣の廊下とトイレにも行ってみましょう。
窓のガラスは触ると少し冷たいですが、空間自体は寒くないです!
計測するとこちらの廊下は17.5℃。
隣のリビングダイニングが19.4℃だったので、2℃ほどしか温度差がありません。
部屋間で5℃以上の温度差があるとヒートショックのリスクが高まるという話でしたが、「これからの家」はその点もクリア。
もっとも寒いとされるトイレも18℃以上あり、半袖でも問題ありません。

訪問した3つの家のサーモグラフィーの比較です。
「これからの家」は空間内の上と下、部屋間それぞれの温度差がなく、冬でも快適に過ごせることが体感的にもご理解いただけたと思います。
はい。実際に窓に触れたり、空間での寒さ・温かさを体感できたので、説明いただいたことがよく理解できました。
まとめると、
- 頭とくるぶしの上下温度差が4℃以上開くと人は不快になる
- 部屋間の温度差が5℃以上あるとヒートショックのリスクが高まる
- 冬の健康リスクの許容温度は18℃
ということで、すべてをクリアしているのが「これからの家」ということでした。
最後に冬の期間にかかる光熱費の比較もしておきましょう。
- 昔の家 28,000円
- 今の家 13,000円
- これからの家 7,000円
「今の家」も昔に比べると経済的ですが、「これからの家」はそのさらに2分の1ほどの料金になります。
快適・健康的で、家計にもやさしいということですね。
冬体感(0℃空間)

これまで、「昔の家」「今の家」「これからの家」を室内から体感してきましたが、
こちらの「冬体感」の空間では、比較してきた3つの住宅を外から観察することができます。
では、さっそく中に入ってみましょう。

0℃というと、大阪の真冬の朝5時くらいの想定になっています。
めちゃ寒いです…。
従来は、冬体感(0℃空間)用にコートの貸し出しがありましたが、現在(2020年10月)は新型コロナウイスルの影響で同サービスを停止しています。
ただ、予約時に担当営業などから同施設の案内があり、必要であればコートや上着などの持参をお声かけされるようです。
ここでのポイントは、外側からどれだけ断熱されているか=部屋の温かい空気を逃がしていないか。
3つの住宅の外側から見たサーモグラフィーを比較したものを確認してみましょう。

左下の「昔の家」の窓だけすごく赤くなっています。
これは、部屋の中の温かい空気が外に逃げていることを意味します。
「昔の家」はそれだけ断熱できていないということですね。
そういうことです。逆に「これからの家」はほとんど部屋の熱を外に漏らしていないことがわかると思います。
リクシルショールーム 住まいスタジオ「夏体感」

南からの強い日差し、西日の照り込みを体感できる「夏体感」ルーム。
ここでは夏の暑さを防ぐ、日差し対策について体感します。
それでは、さっそく夏の日差しを再現してみます。

夏の太陽は位置が高く、80度くらいの角度から日が差してきます。
南向きに掃き出し窓を設置した場合、室内に1mくらい太陽光が入ってくることになり、この日差しの熱が部屋の温度を上げることに。
この熱を中に入れたくないわけですが、日差しを遮るための方法ってどういったものがあるでしょうか?
まず思い浮かぶのが、「カーテンを閉める」ことですかね。
おっしゃる通りです。ただ、カーテンは日差しの55%くらいは中に入れてしまいます。
また、カーテンを閉めると窓との間に熱が溜まってしまい、これが部屋の温度を上げてしまうんです。
そうだったんですね!?
そこで、部屋の中ではなく「窓の外」で日差しを遮るのがより効果的という考えになります。
具体的には、昔から日本にある
- 庇(ひさし)
- 簾(すだれ)
などの対策が考えられます。
この「外で太陽の日差しを遮る」ための商品を弊社でもリリースしていますので、ご紹介させていただきます。
お願いします!
電動オーニン「彩風(あやかぜ)」

強い日差しや紫外線から室内空間を守り、テラスやバルコニーに心地よい日陰をつくる「彩風」。
特長としては、
- 日射熱を5℃カット
- 紫外線を100%カット
してくれます。
ショールーム内の限られたスペースですが、外から見るとこんな感じ。

紫外線100%カットは女性にとってはうれしいですね。
熱をカットする分、エアコンの光熱費も削減できます。
以下はパースによる利用イメ―ジです。

画像出典:LIXIL 彩風(あやかぜ)